恩田 陸/ライオンハート
時間(時代)と空間(国)を越えて繰り返し出会う男女のラブストーリーで、輪廻転生が軸になるお話。
各章ごとに実在の絵画作品になぞらえた筋書きがあり、そこに積み上げられていく史実と歴史上の人物の心理描写、その時代の人間やモチーフが、読み進めるにつれてキレイにつながっていきます。最後まで、核心まで、するすると読んでしまえる。
ストーリーの各所で、いわゆる紋章の造形表現があるんですが、字面を追いながらいろいろな形状をイメージできて楽しかったです。家紋とか、タータンチェックとか、代々伝わっていく&徐々に変化していくデザインには興味があります。
タイトルに加え、舞台がイギリスという時点でオチが分かってしまう人がいるかもしれないけれど......はい、全然気づきませんでした......(世界史勉強してたのに)。
過去=歴史には、もちろん動かしようのない事実も含まれているけれど、その場に立って見られないという意味ではすべてフィクションだと考えてしまうたちなので、こんなハプニングもありだよねー、と変な楽しみ方をしています。
あと、書名だけ見ると、どうしても某ジャニーズを思い出すのは困りもの。
恩田 陸/中庭の出来事
中庭を舞台に3通りの話が展開していく、ちょっと難解な構成。一度読んだだけでは全体を掴めませんでした。うん、要再読。
小説内での「現実」、「現実」の中で起こる「事件」、「現実」で作られる「芝居」が代わる代わる語られるのですが、だんだんと3つの世界の輪郭が崩れて、境界線が曖昧になって溶け合っていく......そんな印象を受けました。
だからこそ分かりにくいし、どの設定がどの世界の話だったっけ?と混乱させられる。作者の思うツボかもしれない。
たぶんこうして書いている今も、どこか誤解してるだろうし、何か取り違えている自信があります。再度読んでもまだ、分からない気がしたりして。
すっきりさっぱりするような、オチというオチがないことも、どこか雲をつかむような感触に拍車をかけているのかもしれない。
舞台も主題もぜんぜん違うんだけど、同一の印象を受けた2作品。
「ライオンハート」は普通越えられない壁を抜けて何かが起こる、縦の物語。
「中庭の出来事」は見方や立ち位置を少しずらせば入り込める、横の物語。
あくまでも勝手な解釈ですが......。
この人のお話はなんで面白く思うんだろうなーとぼんやり考えていたんですが、どうも、ちょっとしたトリップ感がたまらない気がしてきました。
読む自分だけではなく、お話の中で登場人物が「ずれた」世界に放り込まれる感じ、そういうのが好きなのだなと、ようやく認識できたようです。
